情報システム戦略
第4章 ITの活用
情報システムの活用
情報は資源の1つとして、ビジネスでも重要視されています。各種情報/データを蓄積することで、企業の収益が増大します。ここでは、経理・流通・生産の3カテゴリーの情報システムを紹介します。アルファベットで問題文に記載されるので、各システムの名称と特徴を確認してください。
情報システム戦略
情報システム戦略は経営戦略の一部で、情報資源を実用的、効果的に活用することで経営目標を達成することを目的とした戦略のことです。
企業の情報システム戦略は、経営戦略との整合性が取れている必要があります。
情報システム戦略立案の観点として、まず経営戦略との整合性が挙げられます。次に全体最適化の観点です。情報システムの導入により、業務担当者同士が混乱に陥らないようにマクロ視点で捉える必要があります。3つめがROIです。ROIとは投資対効果のことで、情報システムの導入と構築によってかかる費用と得られる効果は見合っているのかを判断します。
ディジタルデバイド:情報リテラシーによる社会的・経済的格差のこと
EA
全体最適化の観点で、情報システムを可視化する技法としてEA(Enterprise Architecture:エンタープライズアーキテクチャ)があります。EAは、社会環境の変化に適応していくために業務とシステムを並行改善していくためのフレームワークで、理想像であるTo-Beモデルと、現状であるAs-Isモデルを比較することで、全体最適を推進します。
業務とシステムを「ビジネス」「データ」「アプリケーション」「テクノロジ」の4つの体系でフレームワークは構成されています。
ITガバナンス
ITガバナンスとは、IT投資、導入効果、情報リスクを最適化するために統制することです。コーポレートガバナンスからの派生語と言われており、コーポレートガバナンスは企業の監視と規律維持を意味しています。ITガバナンスは、企業における情報の監視と規律維持だと考えてよいです。
実践的にITガバナンスに取り組む組織として、業務上のあらゆるシステムと情報を統制して効率的な作業プロセスを進めることで、事業上のコスト削減や利益増加につながります。
情報システムの種類
情報戦略では、現在開発されている様々なシステムから、適切なものを選び、導入することができます。以下に、システムの種類を記載しています。
カテゴリ | システム | 特徴 |
---|---|---|
経営管理 | ERP | 企業の経営資源を管理するためのシステム。1つのシステムで、生産、販売、調達、経理、人事などの複数の項目を1限管理できる。 |
経営管理 | SCM | 社内だけでなく、社外も含めた資材の調達、生産、流通、販売を管理できるシステム |
経営管理 | SFA | 営業活動に特化したシステムで、営業ノウハウや進捗状況を共有し合える |
経営管理 | CRM | 顧客との関係性を管理するためのシステムで、収益拡大を目指して膨大な顧客情報を蓄積する |
流通管理 | POS | 小売店のレジでバーコードをもとに商品記録を行うシステム。店舗ごとの品揃えや発注品目の見直しや、在庫管理業務の効率化に貢献する。 /td> |
生産管理 | CAD | 製品の設計支援を行うシステムで、コンピュータを利用して製品の設計が可能。建築物や工業製品の設計に用いることが多い |
生産管理 | FMS | 多品種少量生産ができる製造工程を効率化できるシステム。製品ごとの材料や部品の自動切り替えができるため人手が必要ない。また消費者の多様なニーズに対応できるメリットもあります。 |
組込みソフトウェア
特定の目的を果たすために、機械に組み込むソフトウェアのことを組込みソフトウェアといいます。組込みソフトウェアの例として、スマート家電が挙げられます。デジタルカメラのオートフォーカス機能、画像補正機能、顔認識機能はソフトウェアが組み込まれているからこそ実現できるものです。
【組込みソフトウェア搭載機械の例】
ゲーム機、カーナビ、携帯電話、自動販売機、POS端末、デジタルカメラ、テレビ、オーディオ機器、エアコン、洗濯機、乾燥機、冷蔵庫、炊飯器、電子レンジ