システム性能評価

第6章 システム導入

システム性能評価

ITパスポート試験では出題率が高い分野である。システム監査とは、システムの脆弱性や機能性を監査・査定することである。具体的には、多角的な視点から情報システムを評価し、評価結果に対して改善策を提案する。第三者が評価することで客観的な査定を受けられる。

システムの評価指標

 システムの性能を評価するための指標として、以下の3つの指標が考慮されることが多い。

(1)性能:処理が早いか

(2)経済性:安いか

(3)信頼性:正常に動作するか


性能

 システムの性能を測る指標として次のものがあげられる。

●ターンアラウンドタイム

バッチ処理でジョブを投入してからジョブを終了するまでの時間

●レスポンスタイム

データを入力してから、情報が出力されるまでの応答時間のこと。単に応答時間共いう

●スループット

単位時間当たりに処理できる仕事量のこと


経済性

 システムの評価基準としての経済性を考える時、主に3つの経済的システム評価指標が考えられる。

●イニシャルコスト(初期費用)

 システムの導入までにかかる費用の

●ランニングコスト(運用費用)

 システムを運用するのにかかる費用

●TCO(Total Cost of Ownership)

 イニシャルコストとランニングコストを足した費用


信頼性

 システムの信頼性とは、システムが故障を引き起さずに、正常に動作し続けられるかを意味しています。信頼性を評価するときには、様々な評価方法があります。


●平均故障間隔:MTBF(Mean Time Between Failure)

 平均故障間隔とは、故障から復旧して再び故障が発生するまでの時間の平均値のことです。

MTBF = 稼働時間の合計 / 故障の回数

 MTBFは、稼働している時間の平均値なので、MTBFの数値が高いほどシステムの信頼性は高くなります。


●平均修理時間:MTTR(Mean Time To Repair)

 平均修理時間とは、故障が発生してから復旧するまでの時間の平均値のことです。

MTTR = 故障時間の合計 / 故障の回数

 MTTRは、故障している時間の平均値なので、MTTRの数値が低いほど信頼性は高くなります。


●稼働率

 稼働率とは、全体時間に対して稼働している時間の割合です。

稼働率 = MTBF / (MTBF + MTTR)

 稼働率は、MTBFとMTTRを利用して算出します。


直列システムと並列システム

 システムを構成する装置の配置方式によって稼働率が変動するため、配置方式はシステムの信頼性評価の1つの指標になります。

 システムを構成する装置の配置方式には、直列システムと並列システムがあります。

●直列システム 

 直列システムとは、複数の装置が直線型に接続されたシステムを意味します。直列システムの稼働率は以下の式で求めることができます。

直列システムの稼働率 = 装置Aの稼働率 × 装置Bの稼働率

●並列システム 

 並列システムとは、複数の装置が列型に接続されたシステムを意味します。並列システムの稼働率は以下の式で求めることができます。

並列システムの稼働率 =

 1 - (1-装置Aの稼働率) × (1-装置Bの稼働率)

●複合システム 

 直列システムと並列システムが複合的に組み合わされてできているシステムを、複合システムという。複合システムの稼働率の計算をするときは、配置方式ごとにシステムを細分化して稼働率を算出する。

 下図では、system1とsystem2に分割している。この場合の複合システム全体の稼働率は以下の式で求められる。

全体の稼働率 = system1の稼働率 × system2の稼働率

完了して続く