1-A-6【業務分析・データ利活用】業務分析と業務計画:データ分析手法と可視化の活用
はじめに
企業の業務を効率化し、問題を解決するためには、業務分析と業務計画のプロセスが不可欠です。これらのプロセスを効果的に進めるためには、適切な分析手法やデータの可視化が必要です。本記事では、代表的な業務分析手法とデータ可視化手法について詳しく解説します。
① 業務分析手法
業務分析では、現状を正確に把握し、課題や改善点を特定することが重要です。以下に代表的な手法を紹介します。
パレート図
- 特徴:データを重要度順に並べ、80:20の法則(重要な要素が全体の80%を占める)を視覚化する手法。
- 活用例:クレーム件数やコストを分類し、優先的に対応すべき問題を特定。
ABC分析
- 特徴:対象をA(最重要)、B(中重要)、C(低重要)の3段階に分類して管理する手法。
- 活用例:在庫管理において、Aグループの商品を重点的に管理。
特性要因図(フィッシュボーンチャート)
- 特徴:問題の原因を視覚的に整理し、要因を特定する手法。
- 活用例:製造工程の不良品発生原因の分析。
管理図
- 特徴:プロセスの安定性や変動を監視し、異常値を特定する手法。
- 活用例:製品の品質管理。
PERT(アローダイアグラム)
- 特徴:タスクの依存関係を明示し、プロジェクト全体の計画を最適化する手法。
- 活用例:プロジェクトのスケジュール作成や進捗管理。
クリティカルパス分析
- 特徴:プロジェクトの最長経路を特定し、遅延を防ぐ手法。アローダイアグラムを活用して分析するのが一般的。
- 活用例:大規模プロジェクトのスケジュール管理。
回帰分析
- 特徴:変数間の関係を数式化し、因果関係を分析する手法。
- 活用例:販売データを分析して売上を予測。
相関と因果、擬似相関
- 相関:データ間の関係性を示すが、因果関係を意味しない場合もある。
- 擬似相関:第三の要因が影響している場合の関係性。
- 注意点:相関を因果と誤解しないように、慎重に分析することが重要。
② データ可視化手法
データ可視化は、分析結果をわかりやすく共有し、意思決定を支援するために不可欠です。目的に応じて適切な手法を選ぶことがポイントです。
目的に応じた可視化手法
棒グラフ:カテゴリー別の比較を明確に表現。
折れ線グラフ:時系列データの変化を視覚化。
散布図:データ間の相関関係を視覚化。
マトリックス図:2軸で分類し、要素を整理。
箱ひげ図:データ分布やばらつきを表現。
ヒートマップ:データ量や頻度を色の濃淡で視覚化。
レーダーチャート:多次元データを比較。
ヒストグラム:データの分布を視覚化。
複合グラフ、2軸グラフ:異なるデータを組み合わせて表現。
注意点:不適切なグラフを避ける
- チャートジャンク:不要な装飾や誤解を招く表現を避ける。
- スケールの操作:軸のスケールを意図的に変更し、印象を操作しない。
- 正確性の担保:データの偏りや欠損を正しく補完する。
ツールの活用
データ分析や可視化を効率化するツールの活用が推奨されます:
- Excel:基本的なデータ分析やグラフ作成に最適。
- Tableau:インタラクティブな可視化に強み。
- Python(Matplotlib、Seaborn):高度な分析やカスタマイズ可能な可視化。
まとめ
業務分析とデータ可視化を効果的に行うことは、業務の効率化や問題解決に不可欠です。適切な分析手法(例:パレート図、回帰分析)や可視化手法(例:棒グラフ、ヒートマップ)を活用し、正確かつわかりやすい情報を共有することで、組織全体の意思決定を支援します。また、データの正確性を担保し、不適切なグラフを避けることが、信頼性の高い業務改善につながります。