法務
第3章 法務
企業と法律
企業活動を進めるとき、様々なステークホルダとの取引が発生するが、どうすればトラブルなく円滑に取引ができるでしょうか。そのためには、国が定める法律を遵守し、ステークホルダと密な協議を行う必要があります。法律は市民にとって一律の規則であり、法律の効力により双方が合意したことを証明できるからです。
法律を学ぶ意義
企業は法律を遵守して活動します。顧客との契約/解約など、企業は法律を熟知しているのが理想ですが、現実はそうはいきません。企業の一人の従業員として働いている人が法律を知らずに、取引を強引に進めてしまうとのちに大きな問題になる場合もあります。「私には関係ない」と思っている従業員の方も、法律を知る意義があります。
ITパスポート試験の出題カテゴリ
ITパスポート試験では、法務の分野は以下のカテゴリに分類されます。
- 知的財産権
- セキュリティ関連の法律
- 労働・取引関連の法律
- その他の重要法律知識
- 標準化
「第10章 法務」の分野は、ITパスポート試験の100問中5~10問を占める出題率なので、重要度は高いです。各種法律の特徴と適用対象まで試験で問われるので、学習を漏れなく進めてください。
会社法
会社には、株式会社、合同会社、合資会社、合名会社の4種類が認められており、これらの設立、運営、清算について規則や諸事項が定められています。
会社法では、会社は「株式会社」と「持株会社」の2つに大別されます。持株会社は、合同会社、合資会社、合名会社の3種類にさらに細分化されます。
マイナンバー法
マイナンバー法とは、個人情報確認のために制定された法律で、行政効率化を目的としています。
2015年に制定された比較的新しい法律で、保険関係や役所手続きを簡素化できるようになりました。
企業は従業員にマイナンバーの提供指示を出し、保険等の登録をする必要があります。その際に、マイナンバーが悪用されないよう情報を保護するための法律が記載されています。
情報公開法
行政機関が持っている情報などの開示請求が可能であることを保証した法律です。国民の知る権利が尊重され、オープンな政治活動を実現することを目的としています。
情報公開法は、正式には「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」と言います。国の行政機関が保有する情報を公開・開示請求できることを定めた法律です。
製造物責任法(PL法)
製造物に欠陥があった場合製造業者等が損害賠償責任を負うことを定めた法律のことです。PL法ともいいます。PLはProduct Liabilityの略語です。
特定商取引法
消費者の利益を守るための法律です。消費者とのトラブルを回避するために定められている規則が記載されており、特定の取引を対象に適用されます。
特定商取引法では、商品やサービスの提供側の情報を開示する必要があります。個人運営の場合は情報は非公開にできます。
例として、下記事項(一部のみ)を表示する必要があります。
契約様式 | 説明 |
---|---|
販売業者 | 法人運営の場合は法人名、個人運営の場合は個人名 |
運営統括責任者名 | 労働者が派遣元から雇用を受け、派遣先で労働を行うための契約。この場合、派遣会社には派遣される労働者を派遣労働者という。 |
所在地 | 販売に対して責任を負う人の名前を記載。法人運営の場合は代表者名、個人運営の場合は個人名を表示します。 |
雇用契約 | 本店(本社)の所在地(店舗、オフィスがなければ住所を記載) |
商品代金以外の必要料金の説明 | 商品代金以外にかかる料金(消費税、手数料)などを全て記載します。 |
お支払い方法 | 全てのお支払い方法を表示します |
不正競争防止法
不正競争防止法とは、事業者間における公正な競争を実現し、営業秘密を保護するために制定された法律です。民法、知的財産権、刑法、独占禁止法等の法律でカバーされていない部分を補完しつつ、事業者間の公正な競争を取り決める内容が書かれています。
ITパスポート試験では、以下の項目が禁止事例としてあげられるので必ず確認してください。「不正競争防止法で禁止されている事例はどれか?」という文脈で出題されます。
- 営業秘密の不正利用/不正取得
- 他社が作成したドメイン名と類似したドメインの利用
- アクセス制限を無効化する手段の提供