経営活動
第1章 企業活動
経営活動
経営活動は概念的な言葉であるため定義が難しい言葉です。Auraitは経営活動を「企業のビジョンを実現するための最も合理的な活動または合理性を追求する活動」と定義し、ここでは具体的に経営活動の考え方と手法を解説していきます。
経営戦略の考え方
企業は組織で構成され、組織は個人で構成されています。その構成要素となる組織と個人が共通の意思・価値観・目標をもって日々業務を推進しています。経営戦略とは、企業活動を推進するための方向性を示した構想のことです。
経営戦略を策定するためには、経営理念と経営目標を先んじて定義する必要があります。次の「経営理念」では、経営理念・経営目標・経営戦略の関係性を解説します。
中期経営計画:中期的な視点で寝られた経営計画のこと。一般的に3〜5年を対象期間とすることが多い。
経営理念→目標→戦略
経営理念とは、企業活動を遂行する上で指針となる価値観や行動基準を言語化した文言です。経営理念は不変なので、企業が存続するかぎり一貫した価値観と行動基準を遵守します。この経営理念を定義することで、企業の存在意義を明確にすることが出来ます。
次に企業は、経営理念を基に経営目標を設定します。設定した経営目標を達成するための方向性を示し筋道を描いた構想のことを経営戦略といいます。
つまり、経営理念が明確になることで企業の存在意義が導出され、企業が取り組むべき顧客課題が明確になります。解消すべき顧客課題が経営目標です。経営目標を達成するためには企業が進む方向を明確にする必要があります。企業活動の方向性が定義された構想を経営戦略といいます。
経営管理
企業活動を推進していく上では、「ヒト・モノ・カネ・ジョウホウ」が主要資源です。人事・有形資産・財務・情報の管理と表現できます。4つの主要資源の考え方や管理手法が、事業存続や将来性を大きく左右します。限られたリソースを最適に活用していくためには、多角的な視点をもって企業活動を推進していく必要があります。企業経営を推進するために経営資源をやりくりすることを経営管理といいます。
●ヒューマンリソースマネジメント:人的資源管理に関する用語
タレントマネジメント:個人の持つ資質・才能を理解し、育成していくことで組織の適材適所を実現する人事管理手法のこと
ナレッジマネジメント:組織・個人が保有している情報を知的財産として組織に蓄積している管理手法のこと。経営管理手法の1つで、現在ナレッジ蓄積システムを導入する企業が増えている
経営分析手法
経営戦略を策定するためには、様々な項目を分析する必要があります。ここでは、経営戦略を策定/実行するための分析手法を紹介します。
●ファイブフォース分析
業界全体の状況や競合を分析することによって、企業のポジションを明確にするフレームワークです。ファイブフォース分析の主な目的は、自社の競合優位性を確かめることです。
<ファイブフォース分析の対象>
- 業界内での競争
- 業界への新規参入者
- 代替品の存在
- 買い手(顧客)の交渉力
- 売り手(サプライヤー)の交渉力
●PPM(プロダクトポートフォリオマネジメント)
PPM(Product Portfolio Management)とは、複数の事業を「事業成長率」と「市場占有率」を軸に分類し、マトリクスに表すことで、経営資源の配分を最適化する手法です。PPMでは、経験曲線の考え方をベースにした分類をします。
●SWOT分析
SWOT分析は、下の4つの要素をもとに分析を行う手法です。
- Strength:強み
- Weakness:弱み
- Opportunity:機会
- Threat:脅威
経営戦略に関する重要用語
◆SDGs
SDGsとは、Sustainable Development Goalsの略語で「持続可能な開発目標」を意味します。世界の貧困、紛争、人類、気候変動、感染症に関する課題解決に向けて、全ての人が1つになって取り組むために、具体的な17の目標と169のターゲットが設定されました。
◆ESG
「E: Environment(環境)」「S: Society(社会)」「G: Governance(企業統治)」の3つの観点のことです。ESGの観点で経営活動を行うことをESG経営、投資活動をすることをESG投資といいます。
◆重要目標達成指数(KGI: Key Goal Indicator)
経営目標の達成を、何をもって達成とみなすかをKGIで表します。つまり、企業の最終目標になります。
◆重要業績評価指数(KPI: Key Performance Indicator)
KGIを達成するための中間に位置する段階化された目標のことです。KPIは、KGI達成までのプロセス・道筋を示すことができます。
◆重要成功要因(CSF: Critical Success Factor)
経営目標達成に大きな影響を及ぼすと考えられる要素のことです。CSFは、企業全体、各部署、各分科会、各委員会などで管理項目として用いられます。