プロジェクトマネジメント

第7章 プロジェクトマネジメント

プロジェクトマネジメント

プロジェクトとは、独自性と有期性をもつ業務のことです。例えば、システム開発案件はプロジェクト体制を進行することが一般的です。「人」「予算」「作業」が複雑に絡み合うプロジェクトでは、既定の期間/予算内に目標を達成しなければなりません。ここではプロジェクト推進に必要な考え方や知識を解説します。


プロジェクトとマネジメントの定義

 プロジェクトマネジメントは、「プロジェクト:Project」と「マネジメント:Management」の連語です。まず、それぞれの言葉の定義について解説します。

●プロジェクトとは

 広義では、独自性と有期性がある目標達成またはプロダクト作成/制作を、目的とした業務のこと。狭義では、製品/システムの開発を目的とした専属メンバーらがチーム体制で進行する業務のこと。

●マネジメントとは

 マネジメントとは、パフォーマンスを最大化するために物事をやりくりすることです。


 プロジェクトとマネジメントの2つの言葉を理解するとプロジェクトマネジメントの定義が見えてくる。プロジェクトマネジメントとは、独自性と有期性がある目標達成やプロダクト作成/制作を目的とした業務のパフォーマンスを最大化するための活動のこと。


TCO:TCO(ティーシーオー: Total Cost of Ownership)は、費用見積もり手法の1つです。システムの開発・導入・運用・保守・ユーザ教育の全工程にかかる総コストを見積もる手法です。


プロジェクトマネジャーとは

プロジェクトマネージャーとは、プロジェクトの目標を達成するために、母体組織が任命する人物のこと。そのためにプロジェクトマネージャーは、保有するリソースと競合する制約条件のバランスをとりつつ、プロジェクトのパフォーマンスを最大化する役割がある。

プロジェクトのマネジメントでは、チーム全体と積極的にコミュニケーションをとることが重要である。


プロジェクトニーズの把握

なぜプロジェクトを推進するのかの背景を明確しプロジェクトの存在意義を明確にする

  • 行動を促しているものの決定
  • 対処すべき問題の特定
  • プロジェクト上の好機の特定
  • 影響を受けるステークホルダの特定
  • スコープの特定


プロジェクト計画書

 プロジェクトマネジメント計画書では、プロジェクトをどのようにマネジメント・コントロールをするのかを定義したものである。つまり、プロジェクトマネジメントのアプローチ方法を記載する。

具体的には、いつまで、何を、どれくらいの費用内で成果物を作成するのかを記載する。いつまでに、何を、どれくらいの費用内での基準をベースラインという。

ファンクションポイント法:機能の数と難易度の2つの観点でシステムの開発規模を見積もる方法


PMBOK

 PMBOK(Project Management Body of Knowledge)は、プロジェクトマネジメント知識を形式化したものである。ピンボックと呼ぶ。アメリカのPMIというプロジェクトマネジメントの普及拡大を目的としている非営利団体によって作られた。現在では、プロジェクトマネジメントの世界標準となっている。

PMBOKのプロジェクトの定義独自性のあるプロダクト、サービス、所産を創造するために実施する有期性のある業務のこと

PMBOK頻出問題:PMBOKに関する試験問題では、スコープ、タイム、コスト、リスクの4つの知識エリアに関する問題が出題されやすい。実務面でもこの4つの知識が必要不可欠


PMBOK 10つの知識体系

プロジェクトマネジメントに必要な10の知識をガイドラインとして国際的に普及活動をしているPMIは、以下の観点でプロジェクトの管理をしていくことが重要だと示している。

  1. 統合マネジメント
  2. コストマネジメント
  3. 資源マネジメント
  4. スケジュールマネジメント
  5. スコープマネジメント
  6. コミュニケーションマネジメント
  7. リスクマネジメント
  8. 調達マネジメント
  9. 品質マネジメント
  10. ステークホルダマネジメント


PMBOK 5つのプロセス群

 PMBOKでは、プロジェクトマネジメントの活動プロセスが体系的に5つに分類されている。

  1. 立ち上げ
  2. 計画
  3. 実行
  4. 管理
  5. 終結


プロジェクトマネジメントの便利ツール

プロジェクトマネジメント活動をするために様々なツールがある。これらのツールを実践的に活用することで、より効率的なプロジェクト進行が可能になる。

 これから紹介するツール・知識は、IT従事者が頻繁に利用するものであるため、初めて見た/知ったツール・知識はできるだけ記憶するようにしましょう。


■WBS

 WBSとは、Work Breakdown Structureのことで、最終成果物や必要作業を細かい単位に分解し、構造化したものである。プロジェクトの遂行において、WBSが作成されないことはない。

WBSでは、大きなタスクを小タスクに分解して、担当者や開始日・終了日を定義する。工数の見積もりなども記述する。


■ガントチャート

 プロジェクトの進捗を管理するためのスケジュール表のこと。縦軸にタスクを配置し、横軸に時間軸を配置し、作業の進捗を可視化していく。

 プロジェクトの生産管理や工程管理の手法として用いられることが多く、作業計画を表とグラフで可視化できるため、チームメンバーが実施するタスクが明確になる。


■パウンダーチャート

 縦軸に残りの作業量、横軸に時間をおいて、折れ線グラフ化したものである。折れ線が横軸に到達した時に、プロジェクト完了を示す。

 プロジェクト完了が1つのゴールとして進捗を可視化できるため、遅延が起きているときは一目でわかるようになっている。


マネージャーとリーダーを区別する

 プロジェクトマネジメントは、プロジェクトリードとは区別して役割が存在する。プロジェクトマネージャーは、体制図上地位が最も高い位置にいることが多い。しかし、マネージャーという役職者は、リーダーとは異なる責務があるため、正しくマネジメントとリーダーシップを使い分ける必要がある。

マネジメントとリーダーシップを混在させると、責務不履行と見なされる可能性があるため、差分を理解しておこう。

マネジメントとリーダーシップ.pdf
完了して続く